カチュア、デニム、プレイヤー、そして私



「僕は姉さんを愛している!」
デニムの有名な台詞ですが、果たしてカチュアを好きなプレイヤーがどれほどいるのでしょう?
むしろカチュアは嫌われています。
しかし私は過去やったゲームのキャラクターの中でもトップクラスにカチュアが好きだったりします。
さて、この差は何なのでしょう…?

この文章は、ITO Yuさんの5人タクティクスオウガ内のコンテンツの一つである「カチュア、デニム、プレイヤー、アシタカ」を参考にしています。
…というよりは、この「余談」からの発展形を私的に語っただけのものです。
したがって、これを読むためには上記余談も読まないと理解できないでしょう(滅)
まぁ言ってる事は単純なのでTオウガ経験者ならばある程度はわかるでしょうが、引用文すら使わずに他人のコンテンツの内容を前提としているフシがありますので(待て)

ちなみに殆ど感情論だけで、真面目なのは最後の部分だけですがご了承を。
当然ですがタクティクスオウガのネタバレを大量に含みますのでこれもご注意。特にLルート。
私のファーストプレイはLルートで、TオウガについてはLルートのイメージが最も強いからです。
(Nルートについては番外編の様な認識をしていて、ある意味タクティクスオウガのシナリオとは認めていないフシがありますね。
一度はクリアしましたが、以降プレイする際は「シナリオを楽しむため」には決して選ばないでしょう。
デニムの育成などゲーム性を求めてプレイする可能性はありますが…)







☆「この島を離れましょう、ね?」に対する2つの回答☆

 Lルート2章で、公爵がガルガスタン軍に負けたという情報が入った時の事。
カチュアは「この島を離れましょう、ね?」と持ちかけます。
無論デニムは断りますね。これについてITO Yuさんは
「プレイヤーが異邦人だから」という話およびその発展で解釈してます。
(デニムの立場はプレイヤーだから異邦人の域を出ない、プレイヤーらしい行動にある程度はなる。
「デニムというキャラクター」というよりは「大多数のプレイヤー」の行動に近く作られているような…。
それがデニムのキャラではあるのだろうけれど。そして、だからプレイヤーは疑問に思わない。
ちなみに例外はルート選択および味方の忠誠度が変動する選択肢。)

これは全くそのとおりで、まぁ大概のプレイヤーが書かれているとおりの反応示すでしょうね。

 ではこのとき私が何を考えていたかというと。
「そうだね姉さん、こんな腐った島なんかさっさと棄てて新天地で暮らそうよ。2人で(重要)。
と、まさかこんなデニム口調ではありませんでしたが、選択肢が出たら迷わず島を棄てたでしょう(笑)
何せそこは私。この時点で「カチュア>世界」の公式が成り立ってたンですよね。
っつーか、1章始まってすぐのイベントの台詞(ITO Yuさんも引用してる、「あなたみたいに、我を通すだけの能無しじゃないのよ」およびその前後)辺りから既に堕ちてましたが…(爆)




☆こんなプレイヤーで良いンでしょうか 〜一番タチの悪い異邦人〜☆

 ITO Yuさんは「プレイヤーは異邦人だから民族意識とか過去の屈辱とかは知らなくて」って話を指摘しています。これは人によると思いますが、まぁ大概はそうでしょう。
(中にはタクティクスオウガの世界観を根本から理解し、デニムの立場に立って真剣に悩む人だっているかもしれませんからね(見たことありませんが))
これは各人のプレイスタイル…どころか、小説を読む際のキャラへの感情移入などの性質とも絡んでくる話になってくるでしょう。

 少なくとも、ITO Yuさんの指摘どおりの原因でカチュアを嫌っているプレイヤーは確かに存在するでしょう。
では、各所で私の心境はどう動いていたのか?
こうしたゲームにおいて、私は一つのスタイルを持っています。
「自分に都合の良い部分だけキャラに感情移入する」という。
…ええ、「キャラに」です。「主人公に」とは限らないのですね。

 Tオウガで具体例を出しましょうか。
私は1章始まった辺りからゲームの雰囲気そのものにかなりドス黒い空気を感じていました。
大まかにシナリオを見始めたばかりのときでしたが、ヴァイスやカチュアの台詞だけでも判断基準は十分…とりわけヴァイスの台詞がかなり印象的だったからですね。
したがって、ほぼゲーム開始時から敵対民族への憎悪や何かは結構頭に入ってたンですよね。「前提」として。
(作品によっては、主人公の立場に感情移入することで敵対者を虐殺する快感が得られます(爆)。まぁ他にもメリットはありますが。)
だから、異邦人であるにも関らず民族意識やその間にわだかまる感情を中途半端に理解しているワケです。
そんな私、一番自分の感覚に近かったのがカチュア。
戦争なんてやめよう、2人で島を逃げよう、という意見は「現実の私ならこうする」に最も近い(なぜなら私は平和主義者だから(笑))ですが、そーいう意味ではありません。
タクティクスオウガをプレイする以上、私はゲーム中で戦争を行っています。
そしてこれからも殺る気満々です。わざわざそのために虐殺までしました。ですからゲーム内においては一応立場を異にするものでしょう。ですが。
愛する姉さんに「一緒に逃げよう?」なんて言われたら逆らえません。

戦争なんてやめよう!もう良い、僕はよくやった、姉さん一緒に逃げようよ。
この時点でバルマムッサの尊い犠牲はアッサリ忘れてる、と(笑)
いや、覚えてはいるのですが、姉さんと天秤に掛けたら、見ず知らずの(むしろ直接話した限りでは結構憎たらしい老人が多かった)人間たちなど何万人死のうが関係なかったワケですね。
(余談ですが、1周目がLルートだった原因はこの辺にもあります)

 総合すると…カチュアを嫌いなプレイヤーが多い原因の一つとしては、カチュアとデニム(≒プレイヤー)が別の価値観で動いてるからというのがあるのでしょう。
ところが、カチュアの価値観ってのは本来かなり人間的で、カチュアの側に感情移入した人(好感を持ったりして)の場合、今度はこっちに転んでしまう。
その中でも、あの世界について一定以上の理解(曲解も含む)があったりすると、私のように「あ?島?ウォルスタ?しらねーよ、姉さんより大事なものなんか無いね」になってしまうと。




☆カチュア好きとカチュア嫌いの決定的境界線☆

 しかし結局のところ、上記の問題は「カチュアの方があの島の他の全てより重要だった」からこそ起きた問題でしょう。
ではカチュアに好意をもつ直接の原因は何なのでしょうかね?

 ハッキリ言って私のはフィーリングで、ある意味「気付いたら好きだった」に近いです。
好きか嫌いかなんて大概が第1印象だと思いますが、ではカチュアの第1印象といえば?
ズバリこれら一連の台詞でしょう。

1、「…どうして、姉さんのいうことがきけないの。」
2、「少し黙っていて。弟はあなたみたいに血の好きな男じゃないのよ。」
3、「あの人たちを当てにしてるくせに、偉そうな口をきかないで。」
4、「利用できそうだから、おべっかを使ってるんじゃない。あなたみたいに、我を通すだけの能なしじゃないの、私は。少しは感謝しなさいよ。
もう最高。

 カチュアを好きか嫌いかってここで決まるのではないでしょうか?
私は基本的に同族嫌悪はしない…というかむしろ好きなのです。その結果がこれ。
恐らく、嫌いな人には一生理解できないンじゃないですかね?自分の嫌いだといってるのと同じモノを全く同じ理由で好きなんですから(笑)




☆そう、実は似たもの同士☆

 「カチュア、デニム、プレイヤー、アシタカ」内、「すれちがう愛憎の矢印」の段落に三角関係みたいな図があります。それ参照。
かなり上手いと思うンですよ、これ。特に、「プレイヤー→世界」って感情が何も描いてないところが。
これは本当にプレイヤーが世界の事を考えていないのではなく、「デニムの立場ともカチュアの立場とも違う」ことに起因します(と、私は勝手に思っている)。
つまりゲーム内の、それも始まった瞬間に内乱状態なんて物騒な島の事なんか愛してないし、別にそれで辛い目に遭ったワケでもないから嫌ってもいないと。
さて、ここではゲーム内でのキャラ同士の感情のやり取りについては語らない事にしますが、はたしてプレイヤーとの関りはどうなんでしょう?
プレイヤー→カチュアは「hate」、プレイヤー→デニムは「love」になってますよね。
一般的プレイヤーを想定した場合は確かにそうなんです。「love」であると同時に「プレイヤー≒デニム」でもあるかもしれませんが。
では私はどうなのか?
プレイヤー→デニムが「傍観」、プレイヤー→カチュアが「love」になってるンです。
この瞬間パワーバランスが崩壊する、と。

即ちここに、プレイヤー→世界が「hate」になる原因ができてしまいます。
その結果がバルマムッサの大虐殺なワケです。
まぁ、これは後付けの話で、別にあの当時ここまで深くは考えてませんでしたが。

 と…ここまで書いてわかったかもしれませんが、私とカチュアって似たもの同士なんですよ、ある意味。
「カチュア、デニム、プレイヤー、アシタカ」では「二人幸福主義」という言葉を使っていますね。
似た様な話で、昔とある掲示板でとある人と会話してた時に
零霧:「愛しい人の為なら世界の一つや二つ滅ぼしますよね(笑)」
某氏:「ラスボス的思考ですね」

と。カチュアって一時期これに近いでしょ?
ああ言っときますがこれ、ある意味こじつけですから。
次への布石っていうか(笑)




☆本題 〜カチュア姉さんのアライメント〜☆

 タクティクスオウガにおいて、アライメントというパラメータはキャラごとにほぼ固定になっています。
そんな中、主人公格のデニム、その影たるヴァイス、そしてカチュアの3人だけがアライメントが固定ではありません。
これについて少し検証してみます。

 といっても、デニムとヴァイスのアライメントは別に大した意味はないのです。
ヴァイスはデニムとの対比(注:LだからCになるというワケではないが)ですし、肝心のデニムはシナリオ分岐の選択肢に影響されるだけ。
マルチシナリオである以上、アライメントがシナリオに対応してるだけなんですよね。
無論、各々のアライメントにもシナリオにも大きな意味がありますがここでは語りません。

 しかしそう考えると、カチュアのそれは普通ではありません。
何せカチュアはLNCの3ルート全てで完全に同じアライメント変化をするのです。
(3ルートのどれでもカチュアの「デニムから見た立場」はそう変化していません)

これは「タクティクスオウガ」というシナリオそのものに影響されている、と考える事ができるでしょう。
カチュアの出生や何かはタクティクスオウガのシナリオにおいてはメインの部分に近く、ある意味ルート選択以上に重要と言えるのです。

 また、カチュアはアライメントが変化するごとにクラスが変化します。
これ、結構面白いと思うンですよ。ちょっと考えてみましょう。


○ハイプリースト…アライメントN
 ハイプリースト。プリーストの上位クラスと言えるでしょう。
(ハイプリーストの装備魔法は確認できる限りではプリーストと全く同じですが、成長率が違います)

おかしいですよね。プリースト(アライメントL限定)の上位クラスがアライメントNなんです。

 この理由について考えると、こんな感じではないでしょうか。
カチュアは父の血筋から、生まれつきは戦士としての能力が高かったものと思われます。
魔法系にしては高い戦士系パラメータ(特にHP)の成長率は天性のものなのでしょう。
(なお、成長率以上に初期ステータスによく反映されている。
1章で出てきた時点で、レベル2、HP76、MP28、STR34、VIT32、INT26、MEN27、AGI20、DEX39。
見てのとおり、魔法系よりも戦士系の能力…特にDEXが極端に高い

成長値については、フーキさんの調査を参考にすると以下のとおり。
HP7、MP5、STR5、VIT4、INT8、MEN7、AGI5、DEX4。
各々の値に+0〜2の範囲で成長する。見てのとおりHP、STR、VIT、AGIはアマゾネスと変わらない)

しかしそれとは裏腹に義父プランシーからは僧侶としての教えを受けていた為、戦士系の成長率を保ちつつ魔法系の能力が高くなったものと思われます。
ただしあれだけの魔法系の能力を身につけるに至ったのは、あくまでハイプリースト一筋に絞ったからでしょう。
他のキャラや汎用ユニットのように様々なクラスに就く事ができるのではなく、僧侶だけをやっていたからこそのパラメータなのだと考えます(逆にいうならその状況で戦士系パラメータがアレだけ残ってるのは物凄い)。
と、このように僧侶として十分な能力を得たカチュアですが、彼女本人はいたってアライメントNなんですよね。
これはプランシー神父が本当の父ではないと知った事も影響しているのかもしれません。
何にせよ、ある種の冷徹さや精神的強さを持たねばならないアライメントLには程遠い性格だったワケです。
(注:Nが弱いといってるワケではない。Nも極めれば実は強い。良い例がセリエ姉さんか)
恐らくこのまま行けばニュートラルなプリーストとして生きることになったのでしょう…ですが。


○ダークプリースト…アライメントC
 ダークプリースト。通称黒カチュア。
ちなみに私、戦闘中のちびキャラで最も好きなのが黒カチュアです。
置いときまして。

 ダークプリーストはハイプリーストと能力的には変わらないとゲーム中見る事ができますね。
しかし、これは一般的なクラスチェンジとは少々趣が異なるものです。
ダークプリーストは見た目だけであり、クラス名なんてさほど関係ありませんから。
真の問題はこのときのカチュアのアライメントがCであること。

 このカチュアは…いろいろ言われていますね。
ランスロットさんに精神的ショックを与えたり、「手に入らないのならいっそ…。」なんて言ってみたり、事実デニムに斬りかかったり、Nルートに至ってはレオナールさんを刺殺までしてますから(爆)
まぁその辺こそが好きなんですけどね。
さすがに最後のはどうかと思いますが、Nルートは半ば無視してるので置いときます(爆)

 カチュアがこれらの行動に及んだ理由はわかりやすくはないですが予想できます。
自分よりも世界を選んだデニムへの愛憎、絶望、哀しみ。
自らの出生の秘密を知ったがゆえの絶望、苦しみ。
そして恐らくは世界に対する強烈な憎悪。
そうした感情にとらわれ、秩序から外れる事は即ちアライメントCである事。
デニムを(精神的に)失った事による渦巻く感情は彼女に漆黒の法衣を纏わせ、暗黒騎士団と行動をともにさせ、そして凍った心は恐怖をも打ち消す…って、最後のは考えすぎか(笑)
(注:アライメントCのユニットは恐怖効果を無効化します)


○そしてプリンセス…アライメントL
 どうしてダークプリーストのまま仲間になってくれないンだ。
プリンセスとなり、パラメータは一層伸び、あらゆる魔法が行使可能になり…反則ですね。
ハッキリ言ってユニット的には大嫌いだったりします。何でもできる強いユニットって嫌いなので。
(他作品での例:FFTのシド。)

 何故アライメントもLなのか?
結局、デニムに「僕は姉さんを愛している!」と言われたから…なんでしょうね。
上記の様なきわめて不安定だったカチュアが、一発でCからLになってしまうワケですから如何にデニムのこの言葉が強力かがわかるってモノです。
まぁいくらなんでも単なる女心で片付けるには巨大すぎる問題なので、もう少し詳しく。

 あの段階で、カチュアには本当の肉親が既に存在しなくなってしまっていました。
天涯孤独の身、とタルタロスに言われたとおりです。
こうしてアライメントCになった黒カチュア。しかし世間はドルガルア王の娘の存在に希望を見出し、戦乱の終わりと王女ベルサリアによる島の統一、そして平和を求めます。
でもカチュアは知ったこっちゃありません。「秩序?世界?平和?何それデニムより美味しいの?
しかしカチュアはわかっていない…もうあの世界に、ベルサリア・オヴェリスとして以外にカチュアの居場所はなくなってしまっているンですね。
ロスローリアンに同行していたカチュアですが、ロスローリアンに棄てられたら…どうなると?
それは、デニム達解放軍によるバーニシア城の開放によって現実となります。
ここへ来てそれに気付いたのか、転移石でアッサリ逃亡するランスロットに「置いていかないで!」と言いますが後の祭り。
そして始まるデニムとの対話。デニムが妙な対応をしたら自殺(爆)
でも、デニムの横に自分の居場所があるならば。デニムの傍にいられるのならば、女王ベルサリアとしてカチュアの居場所は確保できるワケですよ。
だからデニムに「愛してる」って言われればアッサリ陥落して女王に(笑)
したがって、あのアライメントLってのは「デニムの傍にいる為なら平和も秩序ももたらしてあげるわ」という、少々身勝手なアライメントLなのかもしれません。ある意味ネコをかぶってるともいえます(笑)
しかし、いずれにせよカチュアにとっては大きな変化ですよね。


 しかしここで問題なのがグッドエンディング。
しっかり立ち直り、女王として島の建て直しに取り組もうという時に…デニムは島から出て行ってしまうワケです。
やはりカチュア、デニム、プレイヤー、アシタカを参照していただきたいのですが、デニムは結局島を追われてしまうワケです。
しかしカチュアは「ありがとう、デニム」と余裕の台詞。
女王ともてはやされ、多くの人に支持され島をまとめ、そしてやるべき事が多い(≒生活も充実する)からといって…はたしてカチュアの様な女性が納得するのでしょうか?
結論から言って危険でしょう(笑)

 恐らくアレは、デニムが戻ってくる事を前提にしての発言なのだと私は考えます。
もっとも、実際にデニムが戻ってくるか否かは怪しいところだと思いません?
ゼテギネア大陸なんぞに渡ってしまえば、恐らくオウガバトルサーガエピソード8に巻き込まれそうな気がするのですが(爆死)
この辺どうなんでしょうね…エピソード8がタクティクスタイプか伝説タイプかわからないので微妙なところではありますが、もしタクティクスタイプなら間違いなくプレイしますから。
ま、脱線なのでこの辺でやめておきますが…。




☆総括☆

 おや…カチュア嫌いの皆さん。どうしました、怪訝な顔をされて?
ふむふむ…「なんでここまで考えててカチュア好きなんて言えるのか」、ですと?
では逆にお聞きしますが…。
何故ここまで言われてカチュア嫌いなんて言えるンですか?
では、これにてこのテキストを終わらせていただきます。
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。






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